WORDS 卒業生インタビュー

寮生活で育み、磨かれた人間関係を構築する力。

卒業生に聞いてみた!!対面インタビュー記事一覧を見る

asahina_01

【11回生】朝比奈 一郎 さん

あさひな いちろう  青山社中(株)筆頭代表(CEO)秀明大学客員教授
1973年、東京都生まれ。秀明中学校・秀明高等学校を経て、東京大学法学部へ。卒業後、経済産業省に入省。2003年、ハーバード大学行政大学院修了。内部からの構造改革をめざし、「プロジェクトK(新しい霞ケ関を創る若手の会)」を立ち上げ、初代代表に就任。2010年に退職し、政策シンクタン ク・青山社中(株)を設立。

秀明の6年間が私の基礎をつくった


「社会や国の役に立ちたい」と経済産業省に入省し、エネルギー政策やインフラ輸出政策などを担当しました。ところが、睡眠を削って職務に奔走しても、政治や行政が、効果的な政策作りが出来ない状況が続きました。「このままではいけない」と、省庁を超えた若手官僚21名とともに勉強会を重ね、独自に霞ヶ関 の構造改革案を作成。政党幹部や有力政治家に持ち込みましたが、改革は遅々として進みません。
「内からの改革には限界がある」と考えた私は、経済産業省を退職して青山社中(株)を設立しました。現在は、政策シンクタンクとして政策づくりととも に、「青山社中リーダー塾」を開講。国や社会のことを第一に考え、変革に携われる人材の育成をめざしています。
当然のことですが、政策を立案するには自分の考えをまとめ、人と議論することが必須で、情報分析力や表現力、コミュニケーション力などが重要です。その意味でも、秀明の6年間は私の基礎をつくってくれました。

自分の考えをまとめ、的確な言葉で伝える 


秀明時代の私は、決して典型的な優等生ではありませんでした。入学後の最初の試験では学年で10番台。地元の小学校ではあまり勉強しなくてもトップでしたから、かなりショックを受けましたね。
その後も勉強一筋にはならず、寮の仲間と早朝野球で身体を動かしたり、夜間学習後の自由時間におやつを食べながら仲間と他愛もない会話をしたり。そんな 寮生活の何気ない日常がとても楽しく、良い仲間にも数多く恵まれました。今も秀明の仲間とは親しくつきあっており、起業した際も様々な面で手を貸してくれました。
寮生活の良い点は、何といってもコミュニケーション能力を鍛えられること。寮室にはテレビもラジオもなく、受信できるメディアが限定されています。ですから情報がある程度遮断された中で、自分なりの考えを明確に持ち、その考えを的確な言葉で表現しなければなりません。
また、同世代が大勢いる中で、集団に埋もれることなく人の興味を惹きつけるには、言葉の選択や発するタイミング、話すときの表情や動作などにも気を配る必要があります。秀明で磨かれたのは、そんな偏差値教育の外にある人間関係の構築力だったと思います。
事実、東京大学進学後や経済産業省入省時に多くの優秀な人材と出会いましたが、彼らと比較しても秀明の仲間は総じてコミュニケーション能力が高かった気がします。それもこれも、寮生活で自然と身についたのでしょう。

言葉の壁を超えてコミュニケーション 


asahina_02

青山社中の社名は、もちろん坂本龍馬の
亀山社中にあやかったもの。
塾生が、旅の土産に龍馬ゆかりのものを持参することも多い。

 

先生方との距離が近かったことも、中高生が大人へと成長する過程で良い影響を与えてくれたようです。夜も先生方が勉強を見てくださいましたし、寮内を巡回される際、時には私たちの部屋に入ってきて会話に参加されることもありまし。10代の私たちにとって、こうした等身大の大人とのコミュニケーションは新鮮な体験でした。今、私が主宰するリーダー塾の特色の1つに「師と弟子が一体となり、車座で議論をする」というものがありますが、間違いなく秀明での教育の影響を受けています。 コミュニケーション力は、公務員試験の面接でも大いに役立ちました。国家公務員Ⅰ種の2次試験合格後、複数の省庁で面接を受けたのですが、足を運んだ省庁からはどこからも引っ張っていただき、どの省庁にするか悩みました。試験の成績だけなら私より良い人もたくさんいたでしょうが、それ以外の能力が評価されたのだと思います。悩んだ末に経済産業省を選び、在省中にはハーバード大学行政大学院に留学させていただきました。世界中の学生から出願がありましたが、その中で私の英会話力はおそらく最低レベル。それでも面接や小論文は手ごたえがあり、その後の在米生活でも人と接する力は言葉の壁を超えてくれました。

asahina_03

集団の中で培った他人を信用する気持ち


この混沌とした時代に子どもの幸せを願うとき、最も重要なのは何か。私は、「人間関係構築力をいかに育てるか」だと思います。残念なことに、家庭でこの力を育てるのは難しい。やはり、集団生活の中でしか育たないのです。寮で同世代が大人数で生活するためには、心の底から人を信じる力が必要です。何かあるごとに人を疑っていては、寮では夜も眠れませんから。人は人を信じることで前向きに生きていける。たとえ仲たがいした相手であっても、信じなければ先へは進めません。私は、人を信じる力を寮生活で養うことができました。感受性の強い10代にあれほど濃密な人間関係を築き、集団が一体感を持てる場はなかなかありません。その意味でも、6年間の寮生活は得がたい経験ではないでしょうか。

asahina_04秀明時代に獲得した
「秀明博士」の盾の数々。
優秀な成績の生徒に贈られる。
生徒のやる気を出させる工夫が、
秀明にはたくさんある。